当院の設備
心電図・レントゲン・呼吸機能検査・末梢神経伝導検査・血算・CRP測定器・AED完備
「めまい」について(2009.9月)
「めまい」といってもさまざまな「めまい」があります.
大きく分けて @回転性めまい と A非回転性めまい に区別されます.
@回転性めまいは,その名前のとおり,周囲がぐるぐる回る(見えているものが流れるような)めまいです.代表的な疾患としては,良性発作性頭位めまい症,メニエール病,突発性難聴,前庭神経炎などの耳鼻科疾患が主体であることが多いです.しかし,椎骨脳底動脈に関連した循環不全や脳梗塞や脳出血などの脳血管障害が原因となることもあり,鑑別診断が重要です.脳血管障害の場合にはめまい以外に麻痺やしびれ,歩行障害,呂律不良,視野障害などの神経症状を伴うことが多いとされています.
A非回転性めまいには,フワフワするようなめまいや,いわゆる立ちくらみのような目の前が暗くなるようなめまいがありますが,その原因は様々です.前述した耳鼻科疾患や脳神経系疾患はもちろん,その他にも貧血や脱水症,高血圧などの全身性疾患,不整脈や低血圧などの循環器疾患,眼精疲労などの眼科疾患,更年期症候群などの婦人科疾患,薬剤性によるものや精神的ストレスなどもあります.さらには,実際は「めまい」ではないものの,小脳の障害やパーキンソン症状,末梢神経障害などにより起きる「歩行の不安定さ」が「めまい」と感じることもあるようです.
一口に「めまい」と言っても多種多様な原因があり,その原因に対しての治療が必要となりますので,様々な検査が必要となる場合があります.
症状が軽くても,ぜひかかりつけ医と相談して下さい.
「頭痛」について そのA 慢性頭痛について/産婦人科における頭痛について(2007.1月)
繰り返し起こる頭痛で悩まされている,いわゆる「頭痛もち」の方は慢性頭痛の疑いがあります.
慢性頭痛には,特殊な場合を除き,大きく分けて三つのタイプがあります.
@片頭痛 A緊張型頭痛 B群発頭痛 です.
まず,「頭痛もち」の方は,自分に起こる頭痛がどのタイプにあてはまるのかみきわめることが非常に重要です.というのも,タイプによって治療方法が異なってくるからです.非常に良くないのは「頭痛もち」だからといって,漠然と「鎮痛薬」を長期間飲み続けるといった方法は,かえって重篤な問題を新たに引き起こしてしまう可能性があります.もちろん「鎮痛剤」も治療薬の一つですが,タイプによっては他の薬が非常に有効になる場合がありますので,治療薬の選択には専門医との相談が必要と考えます.また,薬に頼ることより先に,慢性頭痛の引き金になるような誘因(飲酒や過労,睡眠不足など・・下記その@を参照)を見つけ出し,頭痛を回避することも非常に重要と思われます.
当院は産婦人科もありますので書いておきますが,経口避妊薬(ピル)の服用や更年期障害の治療などに用いられるホルモン補充療法により片頭痛がより強くなったりする場合がありますので,ご注意ください.
また,「頭痛もち」の女性は非常に多く,妊娠可能な女性の場合には,常に「妊娠と頭痛薬」という問題があります,外来でもよく質問を受けますが,頭痛に関連した禁忌薬(妊婦さんが絶対使用してはいけないとされている薬)は数多くあります.当院で,そのような薬を処方する場合には避妊が不可欠となる旨などについて説明をいたします.万が一,服用中に妊娠が成立した場合には,すみやかに服用中止としています.
(尚,妊娠中に禁止される薬を服用したからといって,必ずしも危険性が非常に高いわけではありません.「妊娠と薬」HPも参照ください.)
原則的には,慢性頭痛の治療中に妊娠を希望される場合は,事前に主治医とよく相談をしてください.より影響の少ない安全な薬に変更し,計画的な妊娠,出産が望まれます.
「頭痛」について その@・・頭痛の種類と心配のない頭痛について・・(2006.8月)
頭痛は大きく分けて3つのグループにわけて考えます.
@誰にでも起こる日常的な頭痛(二日酔い・アイスクリームを食べた後・疲労やストレスによるもの等)
A脳内や全身の病気に伴う2次的な頭痛(脳腫瘍・脳卒中・髄膜炎・貧血等)
Bいわゆる頭痛もちと呼ばれ,くりかえし起こる慢性頭痛(片頭痛・緊張型頭痛・群発頭痛)
Aの脳腫瘍や脳卒中など脳内の病気による頭痛は,頭痛の発症形式や持続時間,他の神経所見の有無などで緊急性を判断し,主にCT・MRIなどの画像検査により診断し,早急な治療が必要となってきます.
今回のテーマである心配のない頭痛(医学的に問題にならない頭痛)には,飲酒・アイスクリームなどの食べ物によるもの,冷風や低気圧などの天候や気温によるもの,逆光などの光によるもの,運動後や性交後によるもの,睡眠不足・睡眠過多によるもの,生理に伴うもの,薬剤性,ストレスや疲労などによるもの,などが挙げられます.これらの頭痛の場合には,心配のない頭痛として経過観察したり,一般的な鎮痛薬の服用で様子をみます.
しかし,心配のない頭痛と思われても,一般的な鎮痛剤が有効でない場合があり,慢性頭痛と区別が難しい場合があります.最近では慢性頭痛の良い治療薬が開発されてきており,このような治療薬での改善を試みる場合もあります.また,脳腫瘍などの重大な病気は見逃すわけにはいきませんので,一度は頭部画像検査をおすすめしております.(当院の場合には近隣の地域中核病院と連携して1-2週間以内位にMRIやCT検査を行い,結果も当院外来で説明しております.)
日常生活で頭痛にお悩みの方は,是非一度ご相談ください.
「手足のしびれ」について(2005.10月)
神経内科医が手足のしびれがある患者さんを外来診療するとき,まずは詳細な問診を聴取して,発症形式(急に起こったのか,徐々に悪くなったのか,良くなったり悪くなったりするのかなど)や発症部位,既往歴(糖尿病や飲酒量,仕事内容等)などをヒントに,さらには「しびれの起源」がどこなのか,詳細な神経学診察をして推測します.それは脳内病変なのか,脊髄病変なのか,末梢神経障害なのか,あるいは血行障害なのか,またまた整形外科的な原因なのか,心因性によるものなのか・・.その起源は様々です.
「しびれ」といっても,このように原因は幅広いため,問診内容や診察により,その原因を絞ってゆきます.その上で血液検査,画像検査,筋電図検査,場合によっては脳脊髄液検査などをおこなって診断してゆきます.時には神経筋生検(神経を直接採取して顕微鏡で観察する)をおこなうこともあります.
起床時の一時的なしびれ・疲労,圧力によって血液循環がわるくなって起こってくる部分的しびれ・五十肩などによるしびれなどは心配とならないことが多いとされています.しかし,脳卒中などの脳内病変・ギランバレー症候群などの特殊な末梢神経障害・膠原病などに伴う血行障害・脊椎(脊髄)病変などは早期に診断し治療してゆくことが重要です.また,糖尿病神経障害やアルコール性神経障害など,全身性の病気が潜んでいることもあります.しびれが少しでも継続する場合は,早めに一度ご相談ください.
治せる認知症(痴呆症)について・・・
『認知症(痴呆症)』と聞くと、もう治らない状態と考えてしまう人が多いと思いますが、その原因はさまざまであり、中には治療可能な認知症があります。ただし、治療可能といっても、脳の破壊が高度に進行した場合は治すことが不可能となるため、発症早期に正しく鑑別診断することが非常に重要です。治せない認知症には、いまだ原因不明の病気であるアルツハイマー型認知症を中心に、その他の神経変性疾患(パーキンソン関連疾患)による認知症、また、感染症疾患として話題となるクロイツフェルト・ヤコブ病などがあります。治せる認知症には、甲状腺機能低下症、慢性硬膜下血腫、正常圧水頭症、脳腫瘍、薬物による認知症、ビタミン欠乏に伴う認知症、うつ病などがあります。これらの疾患は、診察や血液検査、頭部画像検査などにより診断可能であり、内服治療や外科治療などにより改善する可能性があります。また、脳血管障害(脳出血、脳梗塞など)が原因となる認知症は、改善は困難ですが、薬物により進行を抑えることがある程度可能です。認知症(痴呆症)だからといってあきらめず、原因を正しく診断してもらうことが重要です。その為には、神経内科や脳神経外科など専門医の受診をお勧めいたします。
(緑区医師会ホームページ「お医者さんの知恵袋」も是非ご覧ください。)
当院の標榜科である「神経内科」について・・・
「脳、脊髄、末梢神経、骨格筋などの病気」を担当する内科で、頭痛、めまい、手足の運動麻痺、しびれ、ふるえ、歩きにくいなどの歩行障害、物忘れ、痙攣、手足が勝手に動いてしまう等の不随意運動、動作がうまくできない、筋肉がやせたり、筋力が低下するなどといった症状を呈する患者さんを対象としています。主な疾患としては、脳梗塞、アルツハイマー病、パーキンソン病や筋萎縮性側索硬化症、脊髄小脳変性症などの神経難病、ギランバレー症候群などの末梢神経疾患、多発性硬化症、重症筋無力症、筋ジストロフィー、多発性筋炎、てんかん、髄膜炎、脳炎、正常圧水頭症、片頭痛などがあげられます。どの疾患も、詳細な病歴聴取と神経系を中心とした診察を行い、初期診断や、その後の治療の選択が非常に重要です。中には、非常に長く付き合っていかねばならない病気も多くあり、医師との長期間にわたる信頼関係が重要と考えます。